2000年07月01日

四百字随想その57

1.一票に託す
(二〇〇〇.六.一九)=政治=
投票は普通の人が出来るたった一つの政治活動といわれているが、本当にそれでいいのだろうか。一票は一票の価値しかなく、その票が多数を占めて初めて本来の価値を持つ。そのためには自分が支持するもの、自分が信じられることを旗幟鮮明にしてアッピールすべきであり、その力が正しい政治を生むはずである。ところが日本ではどうも自分の信じるもの、支持するものを明らかにしない。その典型的な人々が評論家といわれる方々であろう。選挙結果やその分析には長けているように思えるが、では彼らは誰を選んだのか、鮮明ではない。鮮明にすると職業に差し障りがあるとすれば、それ事態が低次元の政治体制であることを示している。政治に本来客観性は有り得ない。しかも支持は必ずしも持続的である必要はない。いつも豹変しうる一票。こういう一票が政治を変えるはずだ。旗幟を鮮明にしても差別されない安定した国の風土と環境を、日本に求めたい。

四百字随想その57
1.一票に託す
(二〇〇〇.六.一九)=政治=
投票は普通の人が出来るたった一つの政治活動といわれているが、本当にそれでいいのだろうか。一票は一票の価値しかなく、その票が多数を占めて初めて本来の価値を持つ。そのためには自分が支持するもの、自分が信じられることを旗幟鮮明にしてアッピールすべきであり、その力が正しい政治を生むはずである。ところが日本ではどうも自分の信じるもの、支持するものを明らかにしない。その典型的な人々が評論家といわれる方々であろう。選挙結果やその分析には長けているように思えるが、では彼らは誰を選んだのか、鮮明ではない。鮮明にすると職業に差し障りがあるとすれば、それ事態が低次元の政治体制であることを示している。政治に本来客観性は有り得ない。しかも支持は必ずしも持続的である必要はない。いつも豹変しうる一票。こういう一票が政治を変えるはずだ。旗幟を鮮明にしても差別されない安定した国の風土と環境を、日本に求めたい。

2.あじさい
(二〇〇〇.六.二六)=自分=
 もう何年前だろうか。高校生時代、同級生が心中事件を起こした。幸いなことにどちらも助かったが、学校は中退した。それから何ヶ月か経ったある日、私は新聞配達をした後、銭湯に入って、そこで倒れて気がついたときは座敷で寝かされていた。何も着ていなかったはずだが、よく見ると女物の寝巻きを着ていた。なぜ? 何故? そーっと、目を開けて周りを見ると女の子一人、うつらうつらとしている。誰だ! だれだ! うっかり怒鳴ろうとしたが、あの同級生だった。風呂屋の娘だった。急に恥ずかしくなり、急いで目を閉じたが、からだはすっかり目覚めてしまった。しばらくして医者が入ってきて睡眠不足で心配はないとのこと。彼女はいつのまにか消えていた。礼を言って着替えて目を庭に向けた。外は雨。雨に盛り上がった紫が強烈だった。梅雨を迎えると不思議にこの光景がよみがえる。その後、一度も会ったことがないが、おかげで彼女は紫陽花のままである。

3.書けなかったテーマ
=あとがきに代えて=
今回、書けなかったテーマが二つある。一つは「差別と区別」。はじめは簡単に考えた。これほど易しいテーマはないぐらいの気持だった。ところが書いているうちに差別肯定論なのか、否定論なのか、自分で分からなくなってきた。単純に考えれば否定論でいいのだろうが、どこかで本音の中に肯定論がある。何故だ。理屈にならない。そこが割り切れなくなって書けなくなってしまった。もう一つは「介護保険料の徴収凍結」。これも易しいテーマと思った。選挙目的の目先だけを考えた安易な政策。そういう小手先だけの方法論でいいのか。ところが介護保険そのものの本質に疑問を持ち、元気で長生きしてポックリと、との調和点が見出せなくなっていた。こうしてみると、大した考えもなしにいろんなテーマを書き続け、何でも書けるものと思っていたが、実はそうも行かないことがある。逆にいうと書きつづけているがゆえに書けなくなるジレンマが現実に出てくるところが面白い。       平成一二年七月一日

Posted by taichiro at 2000年07月01日 09:51