1998年12月21日

四百字随想その39

1.お 歳 暮
(一九九八.一二.一四)=社会=
 歳末行事の一つにお歳暮のやりとりがある。私にとっては楽しい行事の一つである。とくに毎年同じものを贈ってくれる方の気持が嬉しい。私自身も毎年いろんなことを考えて贈っていたが、最近ではオリジナルカレンダーにしぼっている。私から来るものはカレンダーということで、とうとう五年目になる。こうなると少しは皆様に当てにされることになっているのではなかろうか。お互いに余り高価なものであると何か利害に結びついたものではないかと勘ぐられるし、気が重くなってしまうが、気持だけを表すものは、やはり形があった方がいいと思う。もちろん歳暮のやりとりを煩わしいと思う方はしなければいいわけだし、人が出すから自分も出すという考えはさもしい。
大らかな気持で人間関係の融和を図る一つの手段だと考えている。ただし、これも経済的なゆとりがものをいう現象であることは確かである。 

四百字随想その39
1.お 歳 暮
(一九九八.一二.一四)=社会=
 歳末行事の一つにお歳暮のやりとりがある。私にとっては楽しい行事の一つである。とくに毎年同じものを贈ってくれる方の気持が嬉しい。私自身も毎年いろんなことを考えて贈っていたが、最近ではオリジナルカレンダーにしぼっている。私から来るものはカレンダーということで、とうとう五年目になる。こうなると少しは皆様に当てにされることになっているのではなかろうか。お互いに余り高価なものであると何か利害に結びついたものではないかと勘ぐられるし、気が重くなってしまうが、気持だけを表すものは、やはり形があった方がいいと思う。もちろん歳暮のやりとりを煩わしいと思う方はしなければいいわけだし、人が出すから自分も出すという考えはさもしい。
大らかな気持で人間関係の融和を図る一つの手段だと考えている。ただし、これも経済的なゆとりがものをいう現象であることは確かである。 

2.向う三軒両隣
(一九九八.一一.一六)=社会=
 現代の長屋、マンション住まいをしていると、「向こう三軒両隣」は死語に近い。辛うじて片隣の人と挨拶を交わす程度、家族状況もどんな仕事をしているのかすら知らない。そういうことを知ろうとするとプライバシーの侵害になるらしい。喜びも悲しみも分け合う間柄ではなくなっている。現代の情報化時代というものは、近くであればあるほど分からず、遠くの世界のことだけはよく分かる。砒素事件などになると被疑者の生まれ育ち、環境、仕事、性格、交友関係まで知ったつもりになれるほど情報は氾濫する。顔も知らないはずなのに毎日顔を合わせている気になる。つまり、自分の情報を一番知らないのが自分で、自分の知らない人が一番自分のことを知っているような状況が生まれているようだ。身近な人間関係を作り出すことが、これからの課題であり、そのためにも「向こう三軒両隣」の概念をもう一度、死語から活語にする時代に戻す必要がある。  

3.リストラ・倒産
(一九九八.一二.七)=社会=
「リストラ」という場合、本来、企業の再構築のことで、不採算部門の売却、M&A、自社株の買い戻しなどを指すのだが、今では何となく人員整理の代名詞のようになっている。
そのため、失業率が徐々に上がり、まもなく五パーセントに達しそうな勢いである。就業者も不安で何となくものを買うのをセーブし無駄遣いをしないようにするという防御策を採っている。結果的に見ると消費性向がますます下がりものが売れないため、少々のリストラでは間に合わず、倒産に結びつく。経済的に見れば景気がよくなる見通しは、落ちるところまで落ちないと見えてこない。無駄を省き、必要なものを最小限に使い、そして使い尽くすという本来の経済的な観念の芽生えとも言えるが、そのための痛みも大きい。
今こそ、本当の価値観を醸成する好機で、政治がものをいう時期だが、肝心の政治家にその勇気がないのが歯痒い。
(平成一〇.一二.七東京新聞夕刊掲載)

4.日 記 帳
(一九九八.一二.二一)=自分=
 現在、普通にいわれる日記帳はつけていない。ところが書いていないかと言われると毎日書いている。それはパソコン通信で碁を打っているからである。約十人を相手にほとんど毎日打っている。月にすると約三百回ぐらいレスをしている。一回当たり百字から二百字ぐらい書いているので平均すると百五十字ぐらい。何と年間にすると五十万字以上になる。その中身は囲碁についても少し書くが、ほとんどは毎日の出来事や社会問題、それに文化論などである。ということはいつの間にか私にとっての日記帳はこのパソコン通信による会話そのものといってもいい。現在まる三年になるので何と百五十万字以上の文章がパソコンに保管されていることになる。もう一つ日記帳ではないが、週記帳が二百回分ぐらい溜まっている。つまり、この「発言スペシャル」に三年半前から連続応募している原稿である。これはいつの間にか私のアイデンティティーになっている。

Posted by taichiro at 1998年12月21日 09:31